【第3回】グラスの中に「森」や「黒コショウ」が現れる理由
〜全4回連載〜
グラスを回して鼻を近づけたとき、果物とはちょっと違う、すっきりとした爽やかさやスパイシーな香りにハッとしたことはありませんか?
ソムリエのテイスティングコメントを読んでいると、「摘みたてのミントや青草の香り」「黒コショウのスパイス感」「雨上がりの森のような腐葉土のニュアンス」なんて言葉が並んでいます。
「ワインって果物の酒なのに、なんで草やコショウ、土の匂いがするの?」と不思議に思いますよね。
実は、ブドウという植物は、育つ土地の気候や日照量によって「ハーブの香り成分(メトキシピラジンなど)」を自ら蓄えます。また、シラーというブドウ品種などには、本当に黒コショウに含まれるスパイス成分(ロタンドン)がそのまま含まれているんです。

さらに熟成が進むと、果実の甘い香りが落ち着き、まるで雨上がりの静かな森を歩いている時のような、しっとりとした土や木々の香りが顔を出し始めます。
だから、ワイン通の人が「このワイン、ほんのりスパイシーで複雑さがありますね」なんて呟いていたら、心の中でこんなふうに変換してみてください。
「お肉料理にちょっと黒コショウを振りかけた時みたいな、ピリッと心地よいアクセントがあるんだな」 「ミントやハーブを添えた料理みたいに、後味がすっきり爽やかなんだな」と。
フルーツの甘さだけでなく、草木やスパイス、土のような香りが加わることで、ワインの味わいにはぐっと深みが増していきます。
今夜のグラスの中に、ふっと「緑の爽やかさ」や「スパイシーな刺激」を見つけたら、ブドウが育った畑の風や太陽に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
💡 今夜試せる「通っぽい」ひと言メモ
- すっきりとした爽やかさや青みを感じたら: 「ハーブや清涼感のあるグリーンのニュアンスが効いていて、爽やかですね」
- ピリッとしたアクセントを感じたら: 「心地よいスパイシーさがあって、お肉料理に合わせたくなる味わいです」
- コショウの香りが感じられないという人がいたら:「ロタンドンは、赤ワイン1リットル中にわずか16ナノグラムあれば香りに寄与する一方で、人口の約18%の人はこの香りをほとんど感じ取れないという研究結果もあるようです。実は感じ方に個人差がある成分なんですね。」
Wine & Whisper セレクトショップには、マスターがオススメするさまざまなタイプのワインが紹介されています。ハーブの清涼感や心地よいスパイシーさが感じられる、お気に入りの一本を探してみてください。